2016年に発生した熊本地震を対象として,熊本県北・大分県において震度6弱以上を記録した強震観測点周辺の被害調査を行った.その結果,全壊といった大きな被害を受けた建物が見られたものの,その数は震度の大きさに対して少なかった.観測された強震記録の性質について分析した結果,いずれも周期1秒以下の短周期が卓越した地震動で,建物の大きな被害と相関がある周期1-1.5秒応答は小さく,このことが震度が大きいにも関わらず,大きな被害を受けた建物が少なかった原因と考えられる.また,一部の強震記録は長周期成分が卓越しており,免震建物や超高層建物があった場合,大きな被害が生じていた可能性がある.