2019 年 19 巻 5 号 p. 5_125-5_135
断層面内の破壊の相互作用を物理的に解く動力学的断層モデルを強震動評価に活かすためには,断層の摩擦構成則に関するパラメタの設定を地震観測記録の再現性の観点から検討することが重要である.2016年10月21日の鳥取県中部の地震を対象として,運動学的な波形インバージョン結果に基づき,破壊開始時刻を拘束しすべり弱化則の空間分布を設定することにより,動力学的断層モデルで断層面上の破壊の挙動(進展)と震源近傍の強震動を十分再現できた.一方,特性化震源モデルで用いられている応力降下量の設定法では,動力学的断層モデルによる振幅の再現には限界があることが改めて確認された.波形インバージョン結果から可能な限り詳細にすべり弱化曲線の傾きと応力降下量の情報を抽出することが記録の再現性向上に有効である.