2019 年 19 巻 5 号 p. 5_247-5_266
本論文では,初めに地震動の有限フーリエ級数におけるフーリエ振幅と位相差分に着目して,地動加速度の経時関数を定義するとともに,これがフーリエ級数にて表現できることを示す.次いで,粘性減衰と複素減衰の並列する線形1自由度系が定常振動する場合を考え,中村・堀・井上(1998)の提唱する「瞬間入力エネルギー」の経時関数のフーリエ級数表現を示す.数値計算による検証の結果,本論文で定式化した地動加速度の経時関数は地震動の包絡線と対応すること,ならびに本論文で定式化した瞬間入力エネルギーの経時関数が時刻歴応答解析より求めた結果と対応することがわかった.