2019 年 19 巻 6 号 p. 6_105-6_115
地震動の規定値に対するオンサイト警報は波群の識別を行っておらず, 一般的にはS波の振幅を利用しているのが現状である.そこで, 本研究では, より迅速に規定値に対する地震警報を出力することを目的に, 観測点のS波/P波の振幅比を利用したP波規定値に対する地震警報の検討を行った.S波/P波の振幅比は観測点直下のP波とS波の速度構造の寄与が大きいことを理論から導出し, 観測点で取得した実測データより, 安定してS波/P波の振幅比を抽出できることを示した.観測点のS波/P波の振幅比を利用してP波から予測されたS波は観測と良く整合しており, 本手法の有効性が実証的に示された.本研究では, 観測されたP波の振幅とS波/P波の振幅比を利用することで, 従来のS波の規定値に対する地震警報よりTs-pの時間分早く警報を出力できることを示した.