日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
19 巻 , 6 号
特集号「第15回日本地震工学シンポジウム」その2
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
論文
  • 泉谷 聡志, 加村 晃良, 金 鍾官, 佐藤 真吾, 風間 基樹
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_1-6_15
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
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    2016年熊本地震では,斜面上の宅地地盤が大きく変形して甚大な被害をもたらした.本研究は熊本県益城町での宅地地盤の被害メカニズムを,火山灰質粘性土の変形特性から明らかにすることを目的として,現地で採取した火山灰質粘性土試料を用いた非排水繰返しせん断試験を行った結果を報告する.土試料は原位置の土被り圧に応じた拘束圧力で圧密し,斜面の傾斜に相当する初期せん断応力を与えて斜面の応力状態を再現し,2016年熊本地震の強震動地震記録波形をせん断応力波形として作用させた.その結果,不飽和火山灰質粘性土であっても,繰返しせん断によって過剰間隙水圧比が0.9程度まで上昇し,せん断ひずみにして15%以上変形した.また,初期せん断を与えた場合,初期せん断を与えた側に大きな残留せん断ひずみが発生した.したがって,熊本地震では,水分を多く含む火山灰質粘性土が強震動を受けて,有効応力の低下とともに軟化してせん断変形し,傾斜した宅地地盤を斜面下側に移動変形させたものと考えられる.

  • 寺島 芳洋, 福和 伸夫
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_16-6_35
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
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    関東平野などの不整形な基盤に囲まれた堆積平野では,観測される長周期地震動の振幅や継続時間,卓越周期が震源位置により変動することが知られている.この原因として,震源位置の違いに起因する表面波の伝播経路の差異が考えられる.そこで,関東平野およびその周辺で観測された長周期地震動の伝播特性(振幅特性および位相特性と震央距離の関係)や表面波の伝播経路について検討を行った.その結果,震源位置や周期・成分によって伝播特性に差異があること,この差異の要因の一つとして震源位置により表面波が集中する場所が異なること,平野内部に対して盆地端部が取り囲むようにある場所や平野内を伝播する表面波が反射・屈折する盆地端部付近において表面波が集中しやすいことがわかった.

  • 三上 武子, 吉田 望
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_36-6_41
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
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    液状化解析において変相角は,解析結果に影響を及ぼす重要なパラメータであるにもかかわらず,内部摩擦角の関数として推定したり固定値とするなど,これまであまり注意を払われてこなかった.そこで,砂質土の液状化試験結果から変相角と内部摩擦角を求め,その分布範囲や材料特性の影響について調べた.その結果,変相角は18~28°の範囲に分布すること,細粒分含有率20%以下では変相角と内部摩擦角に相関があることが分かった.これより,細粒分含有率20%以下を適用範囲として内部摩擦角から変相角を推定する実験式を提案した.

  • 染井 一寛, 浅野 公之, 岩田 知孝, 宮腰 研, 吉田 邦一, 吉見 雅行
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_42-6_54
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
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    2016年熊本地震および一連の地震活動による熊本県および周辺177地点での強震記録に対してスペクトルインバージョン法を適用し, 震源・伝播経路・サイトの各特性を分離した.地震基盤から地表までのS波サイト増幅特性は, 平野や盆地内の観測点では他点に比べ1 Hz付近で大きな値を示した.分離した182地震(MJMA: 3.0-5.5)の震源スペクトルから推定した応力降下量には, 震源深さ依存性が見られた.また, 分離したQs値は, 0.5-10 Hzの周波数帯域でQs=73.5f0.83とモデル化された.

  • 吉田 昌平, 野口 竜也, 香川 敬生
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_55-6_67
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
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    2016年4月16日の熊本地震本震(Mw 7.0)を主とした一連の地震活動は, 熊本県の広域に甚大な被害を与えた.本研究で対象とした南阿蘇村河陽黒川地区でも東海大学周辺の学生アパートを含めた多くの建物の倒壊被害が報告されている.本研究では空中写真および現地写真から対象地域の被害程度を詳細に把握し, 表層地盤の地盤震動特性との関係性を検討した.地盤震動特性は常時微動探査を用いた3成分単点観測とアレイ観測から得られるH/Vスペクトルのピーク周期分布と表層のS波速度構造モデルから評価した.その結果, H/Vスペクトルは単一のピークを持つ周期0.2-0.7秒の短周期帯域で卓越する傾向が見られた.また, S波速度構造モデルからSH波の1次元理論伝達関数を算出した結果, 周期0.1-0.5秒の短周期帯域で増幅が大きくなる傾向が見られたが, 倒壊被害と相関が高い周期1.0-2.0秒程度の増幅は確認できず, 表層地盤のサイト増幅と建物倒壊被害との関連性は十分に把握できなかった.

  • 小野 耕平, Utari Sriwijaya MINAKA, 岡村 未対
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_68-6_75
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
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    グラベルドレーンによる液状化対策はこれまで多数の実績を有するものの, その液状化抑制効果を実際の応力レベルで実験的に検証した例は少なく, 未解明な部分が残されている.その中で, 本研究はドレーンと液状化層の透水性および有効拘束圧がドレーンによる過剰間隙水圧の消散効果に与える影響に着目し, 層厚8m相当のドレーン改良地盤を再現した遠心模型実験により検討を行った.計5ケースの実験結果から, 液状化層の透水性が高いほど, また有効拘束圧の高い液状化層の深部ほど, ドレーンによる消散効果は高まることが明らかとなった.一方で, 透水性が低く, 液状化の発生を抑制できない条件においても, 液状化の継続時間は大幅に短縮されることが確認された.

  • 小穴 温子, 壇 一男, 宮腰 淳一, 藤原 広行, 森川 信之
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_76-6_90
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
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    2016年熊本地震では地表地震断層が現れ, 断層近傍において永久変位が観測された.この断層近傍の永久変位を再現もしくは予測するためには, 現行の強震動予測のためのレシピでは考慮されていない地震発生層よりも浅い領域の破壊を考慮する方法が必要である.本論文では, 熊本地震を対象に, 現行のレシピを活かしつつ, 断層近傍の強震動および永久変位を再現できるような断層モデルの設定を試みた.その結果, レシピに基づく深部の震源断層モデルに, 大すべり域を有する浅部断層モデルを付加すれば, 断層近傍の地震観測点であるKiK-net益城および西原村小森における観測記録を比較的よく再現できることを示した.

  • 神田 克久, 加藤 研一
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_91-6_104
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
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    東京圏での構造物の設計や地震防災用の想定地震動を評価するための震源モデルを作成することを目的として, 1703年元禄地震, 1855年安政江戸地震, 1923年大正関東地震の三つの歴史地震の震源特性を検討した.まず, 首都直下で発生した最近の地震データを用いて震度による距離減衰式や揺れやすさの評価を行い, 被害から推定した震度分布を用いて, 震度インバージョン解析によって断層面の強震動生成域を求めた.次に, 最近の地震の既往の研究に基づいて震度データから基準化した震度レベルIeと短周期レベルAの関係を評価し, これを用いて三つの歴史地震の短周期レベルAを求めた.

  • 津野 靖士, 宮腰 寛之
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_105-6_115
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
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    地震動の規定値に対するオンサイト警報は波群の識別を行っておらず, 一般的にはS波の振幅を利用しているのが現状である.そこで, 本研究では, より迅速に規定値に対する地震警報を出力することを目的に, 観測点のS波/P波の振幅比を利用したP波規定値に対する地震警報の検討を行った.S波/P波の振幅比は観測点直下のP波とS波の速度構造の寄与が大きいことを理論から導出し, 観測点で取得した実測データより, 安定してS波/P波の振幅比を抽出できることを示した.観測点のS波/P波の振幅比を利用してP波から予測されたS波は観測と良く整合しており, 本手法の有効性が実証的に示された.本研究では, 観測されたP波の振幅とS波/P波の振幅比を利用することで, 従来のS波の規定値に対する地震警報よりTs-pの時間分早く警報を出力できることを示した.

  • 金田 一広, 内田 明彦
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_116-6_128
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
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    液状化の可能性がある地盤で直接基礎を採用する場合は, 地震時に地盤の支持力が喪失するため沈下評価が必須となる.しかし, 現行の基準類では基本的に液状化地盤における直接基礎を許容しておらず設計法は整備されていない.また, 液状化による更地地盤の沈下評価を精度よく行える解析法も多くなく, 構造物がある場合の沈下予測はさらに難しい問題である.本報告では, 1995年の兵庫県南部地震で液状化を経験した六甲アイランドにある3つの直接基礎建物を対象とし, 液状化による建物の沈下を有効応力解析で評価した.

  • 奥津 大, 田中 宏司, 山崎 泰司, 鈴木 崇伸, 庄司 学
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_129-6_138
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
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    通信管路は, 地下通信ケーブルを収容・保護する設備である.高度経済成長期に大量に建設されたため, 老朽化が進行している.また, この時期の管路は耐震性が十分ではなく, 過去の大地震でも多数の被災が確認されている.既設管路を補修する方法として, 内面に樹脂等で被膜を形成するライニング技術があり, 広く使われている.ライニング管は, それ自体で埋め戻し土, 活荷重による土圧に対して十分な強度を有しているため, 補修のみならず耐震対策としての効果を期待し, 検討してきた.本稿では, 収容ケーブルの有無に対応したライニングの耐震性を, 応答変位法を応用した解析手法及び実験により評価する.

  • 森井 雄史, 杉野 未奈, 林 康裕
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_139-6_151
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    本論文では, 2016年熊本地震で注目されたフリングステップを伴うパルス地震動が, 指向性パルスによる地震動と, どのように建物応答への影響度が異なるかを明らかにすることを目的する.建物の解析モデルは多質点の非線形せん断質点系モデルとし, 建物の軒高と構造種別を解析変数とする.軒高は実際に存在する建物を想定し, 低層建物から超高層建物を対象とする.構造種別は非免震建物のS造とRC造, および免震建物とする.地震応答解析の結果を基に, 過去の地震被害事例の解釈を試みる.

  • 菊地 俊紀, 菅波 慎吾, 丸山 喜久, 庄司 学
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_152-6_166
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    本研究では, 流体解析手法の一つである粒子法のうちMPS法を用いて, 既往研究における津波水理実験の数値解析を行い, 結果の再現性の検討を行うことを目的とした.複数の水理実験を対象とした数値解析を行い, それぞれの計算結果と実験結果の波高, 流速, 水平力, 鉛直力を比較し, 解析条件と結果の再現性の関係に関する検討を行った.本研究の解析結果によると, 橋梁模型の大きさを目安として, 粒子間距離を桁長方向におよそ40∼50個, 高さ方向におよそ5個, 床版幅方向におよそ20∼30個程度が並ぶような大きさに設定すると良好な解析結果が得られた.また, 橋梁に作用する鉛直力の再現が難しい事例もあったため, 今後さらなる検討を要する.

  • 奥村 豪悠, 本多 剛, 濱田 純次
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_167-6_180
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    軟弱地盤上に立地する板状建物の杭基礎の地震時挙動は, 地盤の強い非線形性や建物のロッキング挙動による杭の引抜きなどの影響を受けて複雑に変化するため, 十分に解明されているとは言えない.本論文では, 軟弱な粘性土地盤を再現した地盤模型と, ロッキング挙動を生じる建物模型を用いた動的遠心模型実験を実施した.また粘性土の非線形性と杭と地盤の剥離を考慮した3次元FEMによる時刻歴応答解析により実験結果のシミュレーションし, 本手法により大地震時の建物応答や杭応力評価が可能であることを示した.

  • 西浦 遼, 永野 正行, 飛田 喜則, 上林 宏敏
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_181-6_192
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    傾斜基盤上に建つ長大な平面形を有する免震建物では, 長さの異なる杭基礎や異種基礎を併用した基礎構造が採用される.このような免震建物の地震応答特性として, 表層地盤の厚さに応じた入力地震動の振幅の増大や, 基盤から地盤表面にかけて伝播する波の時間差などによって捩れ振動が励起される.しかし, 上記のような建物について, 実測等による検証は必ずしも多くない.本研究では, 対象建物において多点常時微動測定を実施し, 地盤面と基礎部, 上部構造の振動性状について検討を行うとともに, 鉄道振動や小地震の挙動と比較検討した.

  • 原田 智, 酒井 大央, 坂井 公俊, 室野 剛隆
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_193-6_201
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    鉄道高架橋上に建植された電化柱の基礎には, 主にプレストレストコンクリート柱(以下, PC柱)の地震対策として砂詰基礎を用いた箇所がある.砂詰基礎は, 砂同士の摩擦を利用することによって, 地震に対するPC柱の振動を低減させることを期待した設備である.しかしながら, 地震時に過大な荷重がPC柱に作用した場合について, 砂詰基礎PC柱の挙動は明らかになっていない.そこで, 砂詰基礎PC柱の静的および動的実験を行い, 地震時における砂詰基礎PC柱の動的解析モデルを構築した.本論文では, 砂詰基礎PC柱のモデル化およびモデルの妥当性について述べる.

  • 西村 隆義, 坂井 公俊, 室野 剛隆
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_202-6_213
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
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    大規模地震の発生に伴う土木構造物の性能を考える場合, 本震を対象とした評価だけではなく, 前震や余震も含めて議論を行うことが望ましい.しかし, 現在の設計体系において複数回地震の影響を陽な形で取り入れている事例はみられない.そこで本検討では, 複数の地震動を考慮した場合の構造物が有する耐震性能の簡易な評価手法として耐震性能残存率という概念を提案するとともに, 過去の地震動記録に基づいた解析により検討を行った.その結果, 対象とする構造物の固有周期が短く, かつ1回目の地震動による最大応答塑性率が大きいほど, 複数回地震の影響を強く受けることを確認した.

  • サキャ 摩耶, 西尾 真由子, 藤井 浩子
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_214-6_224
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    老朽化する既存橋梁の地震リスク評価に構造状態を考慮したフラジリティ評価と地点毎のハザード評価を合わせることが必要と考え, その基礎検討を行った.免震RC橋脚モデルを対象に, 免震支承部の劣化による剛性増加と不確定性を考慮したフラジリティ曲線を作成した.その結果, 劣化時に免震支承の最大応答変位の平均は減少するが, ばらつきが大きくなることから, 特に支承部材の損傷リスクが高まり, 不確定性を考慮することの有効性を示した.その上で検討のために設定した2地点でのハザード評価を合わせ, 地震リスク解析を行った.その結果, フラジリティ曲線のばらつきが大きい劣化時のケースで構造物の地震時損失率が高まる可能性を示した.

  • ―2011年東日本大震災に起因する京都府への避難者を対象として―
    小山 真紀
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_225-6_231
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    2011年東日本大震災において, 京都府に避難した人を対象としたアンケート調査を実施した.同様の調査を避難とは無関係に京都府に居住する人にも実施した.本論文は, 調査結果のうち, 心の健康に関係する設問に注目し, 避難の有無による心の健康状態の違いと, 個人属性や社会的関係, 避難の形態と心の健康との関係についてまとめたものである.調査結果から, 長期避難者では, 重度のうつ傾向にあるとされる, K6の値が13点以上の人の割合は京都在住者が3.6%であったのに対し, 避難者が23.7%と6.58倍に上っていた.また, 一人避難や子供連れの避難をしている人のうつ傾向の得点が高いことが明らかになった.

  • 小野 祐輔, 日比 慧慎
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_232-6_243
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    本論文では, 2004年新潟県中越地震の山古志村と2016年熊本地震の南阿蘇村の集落の孤立確率を求め, 実際の孤立被害と比較した.孤立確率の計算に必要なデータは, 斜面の勾配, 地震動のPGA分布, 道路ネットワークである.山古志村では全域で孤立確率が高くなったのに対し, 南阿蘇村では一部の集落のみが孤立確率が高くなった.この結果は, 山古志村では村全域が孤立状態になったこと, および南阿蘇村では一部の集落のみが孤立したことと良い一致を示した.

  • 瀬﨑 陸, 丸山 喜久, 永田 茂
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_244-6_257
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    本研究では, 車載カメラから取得した画像から, 地震による道路被害を深層学習によって自動で抽出することを目的としている.あらかじめ目視で被害の有無を分類した教師用画像を使用し, それらを畳み込みニューラルネットワーク(CNN)で深層学習し, 画像判別モデルの作成を行った.この画像判別モデルに学習に使用していない精度評価用画像300枚を判別させたところ, 道路閉塞の判別精度は87%, 無被害の判別精度は90%と高かったが, 道路被害の判別精度は66%とやや低かった.この結果を踏まえて, 地震直後の利用を想定した条件設定を行い, 道路変状の自動抽出シミュレーションを行った.本研究の手法は地震後の道路被害の早期把握に有効と考えられ, 道路管理者の震後対応に貢献できる.

報告
  • 野口 竜也, 西川 隼人, 吉田 昌平, 香川 敬生
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_258-6_271
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    2016年鳥取県中部の地震で鳥取県中部域の被害が甚大であった地域において, 微動観測および地震観測を実施し, 地盤構造の推定および地盤震動特性の把握を試みた.微動記録より水平動と上下動のスペクトル比(H/V)と位相速度分散曲線, 自治体, K-NETの観測点, 臨時余震観測点の地震記録より地震動のH/Vを求め, 地震基盤までの地盤構造を推定した.また, 微動H/Vの卓越周期分布と, その形状のカテゴリー分類の分布より地盤震動特性を把握し, 建物被害との対応を検討した.その結果, 工学的基盤までのS波速度や層厚, 約1秒以下の短周期成分の卓越周期の違いが, 建物被害に影響を与えた可能性がわかった.

  • 山田 雅行, 八木 悟, 羽田 浩二, 藤野 義範, 深津 宗祐, 高原 晃宙, 栗田 哲
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_272-6_282
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    地震が直接または間接的に要因となって土石流を生じさせることがある.個別要素法を用いて, 落石を河床に衝突させることによって, 土石流に起因する河床地盤振動を模擬した.河床の剛性, 落石の落下高(流速), 落石数(流量), 水の有無をパラメータとして, 地盤振動の比較を行い, その振動特性や成因に影響を与える条件に言及した.土石流による河床地盤振動の周波数特性は, 河床地盤の物性によって影響を受けるが, 落下高(衝突速度)や落石数, 水の有無に依存しないことがわかった.また, 河床の剛性に基づいて卓越する周波数成分の振動は減衰が少なく, それ以外の周波数の振動の減衰が顕著であった.常時微動などを用いて事前に河床付近の地盤の卓越周波数を調べることができれば, 土石流によって生じる地盤振動をより的確にとらえることができることを示した.

  • 佐藤 太一, 杉野 英治
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_283-6_295
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    海底地すべりによる地形変化が海面に変動を与えて津波を発生させることが知られている.海底地すべり起因の津波を対象としたハザード評価に関する既往研究では, 地すべり発生に関わる不確かさとして, 海底地盤の物性値の深さ方向の変化を掘削データより考慮しているが, そのばらつきまで考慮されていない.また, 任意断面内において, 地すべりの位置や形状等のばらつきを考慮しているが, それらの設定範囲は想定された断面内に限られる.本研究では, 海底地すべり起因津波の確率論的ハザード評価手法の整備の一環として, 地盤物性値(せん断強さ等)の深度に応じたばらつき及び平面的な地すべり発生位置や移動方向を考慮し, 確率論的手法を用いた海底地すべり危険度判定手法を構築した.また, モデル地形を対象に海底地すべり危険度マップを試作し, 本手法の適用性を確認した.

  • 新藤 淳, 村上 正浩, 廣井 悠, 市居 嗣之, 宮田 桜子, 黒目 剛, 虎谷 洸
    2019 年 19 巻 6 号 p. 6_296-6_305
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/31
    ジャーナル 認証あり

    首都圏においては, 震災対策の一環として自治体が中心となり, 帰宅困難者一時滞在施設(以下, 「一時滞在施設」とする.)の施設数の確保に取り組んでいる.しかし, 民間事業者による帰宅困難者の受入は, 災害の様相や施設の特徴を踏まえた具体的な対応方法や法的責任問題等ハードルが高い.このような課題を踏まえ, 新宿駅周辺地域では, 著者らが中心となり, 地域の行動指針を踏まえ, 汎用版の一時滞在施設運営マニュアル及びマニュアルを可視化した開設キットを開発し, 実動訓練により検証した.また, 帰宅困難者支援施設運営ゲーム(KUG)を活用し, マニュアルや開設キットの検証を行った.本稿は, これらの活動を踏まえ, 帰宅困難者の受入の検討段階から, 具体的な受入の実施までを支援する手法の開発について報告する.

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