日本地震工学会論文集
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論文
福島第一原子力発電所波高計記録を再現した東北地方太平洋沖地震津波モデル
安中 正西 愛歩金戸 俊道
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2020 年 20 巻 4 号 p. 4_1-4_17

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抄録

福島第一原子力発電所沖合の波高計記録を良好に再現する東北地方太平洋沖地震津波の波源モデルを津波波形,GPS1秒波形,海底地殻変動を併用したインバージョンにより求めた.波高計記録の再現性を改善するために,「仮想津波波形」をインバージョンに追加する方法を用いた.仮想津波波形は福島第一沖合水深50mの位置で設定した.多数の仮想津波波形の中から,インバージョンにより得られた波源モデルから非線形長波理論に基づき計算した波形と観測波形の残差2乗和を最小にする波形を探索した.探索により得られた仮想津波波形を用いて,波高計記録を良好に再現する波源モデルを得ることができた.同様の方法を,北海道から千葉までの津波痕跡高との適合度を改善するためにも用いた.また,GPS1秒波形の併用が断層の破壊過程を制約するために有効であることを明らかにした.

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