2020 年 20 巻 7 号 p. 7_120-7_132
伊予灘周辺のフィリピン海プレート内部で発生する地震は,距離減衰特性が一様でないことが指摘されている.要因の一つに大陸側のプレートとフィリピン海プレートの減衰性の違いや水平方向の減衰構造の不均質性が考えられる.本検討では,友澤ら (2019) の手法を深さ方向の不均質減衰構造を推定するように拡張したブロックインバージョン解析に基づき,観測記録から震源特性・不均質伝播経路特性・サイト増幅特性を分離した.その結果,フィリピン海プレートでは,四国地方の南西部とその他の領域に分離され,フィリピン海プレートの上面深度が深い領域でhigh-Qとなった.また,2001年芸予地震の短周期レベルは3.12×1019 N m/s2と推定された.さらに,プレートごとの水平方向の不均質性を考慮することで,残差の空間分布の偏りを改善できることを示した.