2021 年 21 巻 1 号 p. 1_1-1_24
原子力発電所の津波リスク評価手法の高度化に資するため,まず,確率論的津波ハザード解析と津波フラジリティ解析の有機的連携に必要となる津波模擬波形に求められる要件を整理した.次に,2011年東北地方太平洋沖地震津波の観測波形を対象に位相・振幅スペクトルのモデル化に向けた基礎的検討を行った.その結果,群遅延時間及び振幅スペクトルの周期帯ごとの平均値が各モデル化に有効であることを確認した.そして,これらの要件及び基礎的検討結果を踏まえて,統計的手法に基づく津波模擬波形の作成方法を提案した.