2021 年 21 巻 1 号 p. 1_159-1_171
地中構造物は,断層変位に伴い発生する強制変位によって構造体の損傷や機能障害が想定される.本研究では,土被り20 mで地中に埋設された鉄筋コンクリート製ボックスカルバートを対象に,断層変位が作用した場合の応答を有限要素法により解析し,その損傷過程を分析するとともに,材料強度,地盤定数の不確実さを考慮した損傷確率を求め,その結果について考察した.その結果,断層の傾斜角度が低角(地面に対して30度)の場合,側壁に斜め引張破壊が生じる断層変位の偶然的不確実さ要因によるばらつきは地盤剛性が支配的であるのに対し,断層の傾斜角度が高角(地面に対して60度)の場合,側壁に斜め引張破壊が生じる断層変位の偶然的不確実さ要因によるばらつきは地盤剛性の影響が大きいものの,コンクリート強度と地盤強度が偶然的不確実さ要因によるばらつきに及ぼす影響も中程度にあり,構造物の損傷とともに構造物周辺の地盤が降伏する結果となることが明らかになった.