日本地震工学会論文集
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論文
2016年熊本地震により阿蘇カルデラで発生した帯状陥没のメカニズム
安田 進大保 直人島田 政信千葉 達朗永瀬 英生村上 哲先名 重樹北田 奈緒子石川 敬祐
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2021 年 21 巻 1 号 p. 1_135-1_158

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抄録

2016年熊本地震では阿蘇カルデラにおいて特殊な帯状の陥没が多く発生し,住宅や道路,上下水道,農地,護岸が甚大な被害を受けた.その発生のメカニズムを研究するため,種々の現地調査,土質試験,解析を行った.合成開口レーダの測定結果によると陥没が発生した地区では局所的に2~3 mの水平変位が発生していた.この地区では9,000年前頃に湖が形成されていた.ボーリングや微動アレイ観測結果によると,湖底はお椀状で,そこに珪藻や軽石を含んだ特殊な粘性土層が堆積していた.この湖成層の土質試験を行ったところ,繰返しせん断力を受けると緩い砂の液状化と同様にせん断剛性が激減することが分かった.そこで地震応答解析および残留変形解析を行ったところ,地震動による湖成層のせん断剛性の急減により湖成層が湖底に沿って回り込むように変形し,それに引きずられて湖の縁付近の表層土に水平方向の引張り力が生じ,陥没が発生したと考えられた.

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