2022 年 22 巻 2 号 p. 2_61-2_87
諸外国では,原子力施設等のリスクの定量化に資する確率論的地震ハザード解析を行うに際して,手順としてSSHAC(Senior Seismic Hazard Analysis Committee)レベル3ガイドラインが適用されている.伊方SSHACプロジェクトは,伊方発電所3号機を対象に,我が国で初の試みとしてSSHACレベル3ガイドラインを適用した確率論的地震ハザード解析を行ったものである.伊方サイトでの地震動の認識論的不確実性に関し,近傍に長大活断層が分布する地震環境や極めて堅硬な地盤条件等を踏まえ,地震動予測式と地震動シミュレーションの両手法を相補的に導入し,震源近傍の地震動のばらつき等も考慮した先駆的なロジックツリーモデルを構築した上で,確率論的地震ハザード解析を行った.本研究の成果は,不確かさを的確かつ客観的に評価する観点から,後続の確率論的地震ハザード解析への展開が期待される.