2022 年 22 巻 5 号 p. 5_25-5_42
地殻変動の水平変位が津波へ与える影響を把握するため,東北地震津波を対象に,Tanioka and Satake(1996)の方法(TS法)及び従来法についてジョイント・インバージョン解析及び津波伝播解析を実施し,推定されるすべり量分布等の相違点を比較検討した.津波波源モデル全体としては,TS法は従来法に比べ,すべり面積は90%程度,平均すべり量でも90%程度,地震モーメントでも84%に抑えられており,水平変位の寄与分の考慮方法の違いによる影響を確認することができた.津波波源モデルを海溝軸に平行な深さ方向に領域分けして検討した結果,TS法では平均すべり量が海溝軸沿いで大きくなる一方,従来法では平均すべり量がやや深い領域で大きくなることを確認した.TS法を採用することにより,従来法に比べ,より実際の現象を反映したすべり量の分布配置を得ることができたと考える.