日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
22 巻, 5 号
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論文
  • 古宮 嘉之, 林 和宏, 大島 広明, 中井 俊樹, 笹田 孝幸, 渡辺 秀治
    2022 年 22 巻 5 号 p. 5_1-5_24
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    ジャーナル フリー

    本論は,建物の1階と上階に設置した2台の地震計を用いた地震計間の最大変形角を算定する一手法を提案する.実用時の汎用性を念頭に置き,建物の構造詳細情報は不要,2台の地震計の有線接続とロガーによる時刻同期は不要,地震計はスマホ内蔵などの加速度センサの計測精度でも評価可能なことを目指す.但し,地震計は,NTPサーバとの交信による内部時計間の時刻差程度の同期精度があること,所定のサンプリング周波数に補正されていることを必要要件とする.建物の応答を等価1質点モデルで推定する.地震計間の水平変形を算定する基本式の未知数である最大応答時の1次固有円振動数と減衰定数を,上下階の加速度記録のフーリエ振幅比のピークから求解する.前回地震時の終動部で評価した弾性1次固有振動数を利用すること,加速度記録を一定間隔で分割することで多数のピークから最大応答時の1次固有振動数を絞り込むことが本論の特徴である.E-ディフェンスでのRC造,S造の4つの実大加振実験結果を用いて,提案方法による評価精度を検証した.検証の結果,弾性域から塑性域に至る範囲において,実験に用いたレーザー変位計の測定値と提案手法の評価結果が概ね整合していることを確認した.なお,この検証は,1次モードが励起されやすい整形な建物,残留変形やねじれ変形が小さい場合の検証に留まるものである.主要動が長時間継続する地震動への適用,地盤との相互作用による影響が大きい建物への適用,様々な形状の建物への適用,加えて被災度判定の重要な指標である最大層間変形角の求解については本論の対象外とする.

  • 道口 陽子, 杉野 英治, 三戸部 佑太, 田中 仁
    2022 年 22 巻 5 号 p. 5_25-5_42
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    ジャーナル フリー

    地殻変動の水平変位が津波へ与える影響を把握するため,東北地震津波を対象に,Tanioka and Satake(1996)の方法(TS法)及び従来法についてジョイント・インバージョン解析及び津波伝播解析を実施し,推定されるすべり量分布等の相違点を比較検討した.津波波源モデル全体としては,TS法は従来法に比べ,すべり面積は90%程度,平均すべり量でも90%程度,地震モーメントでも84%に抑えられており,水平変位の寄与分の考慮方法の違いによる影響を確認することができた.津波波源モデルを海溝軸に平行な深さ方向に領域分けして検討した結果,TS法では平均すべり量が海溝軸沿いで大きくなる一方,従来法では平均すべり量がやや深い領域で大きくなることを確認した.TS法を採用することにより,従来法に比べ,より実際の現象を反映したすべり量の分布配置を得ることができたと考える.

  • 藤堂 正喜, 新井 健介, 宮腰 淳一, 佐藤 俊明, 藤原 広行, 森川 信之
    2022 年 22 巻 5 号 p. 5_43-5_59
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    ジャーナル フリー

    地震調査研究推進本部による「震源断層を特定した地震の強震動予測手法(「レシピ」)」における内陸地殻内地震のアスペリティモデルの設定に用いられている短周期レベルの経験式の地震モーメントM0に関するスケーリング則について再考した.レシピの震源断層面積と地震モーメントに関する3ステージモデルのスケーリング則を考慮して,各ステージの領域において短周期レベルをM01/3M01/4M01/2によってスケーリングする,3ステージモデルに適合した3折れ線モデルの新たな経験式を提案した.これを地震観測記録による強震動生成領域(SMGA)の面積と応力降下量のデータと比較して,短周期レベルの3折れ線モデルの経験式がSMGAデータによる短周期レベルを説明できること,経験式から算出できる応力降下量がSMGAデータの応力降下量の地震規模に依存しない特徴に整合することを確認した.

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