日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
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MEMS加速度センサを搭載した計測震度計の開発
内田 淳大井 昌弘大内 芳弥本橋 恵三
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2023 年 23 巻 2 号 p. 2_58-2_70

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抄録

1995年兵庫県南部地震を契機に,わが国における強震観測網は飛躍的に整備拡大され,現在に至っている例えば1).震度計を含む強震計の機能は,センサ部,AD変換部,演算部,通信部の4つに大きく分けられ,技術発展に伴って様々な改良が行われてきた.地震動を電気信号に変換するセンサ部は,従来からサーボ型加速度計が用いられてきたが,AD変換部,演算部,通信部の急速な技術発展とそれに伴う小型化,低価格化が実現されてきたが,センサ部は大きな変化,とりわけ低価格化は見られなかった.一方,自動車などに搭載される衝撃センサやスマートフォンには加速度センサが搭載されている.これらの加速度センサは,MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)と呼ばれるもので機械要素部品や電子回路を微細加工技術によって集積化したデバイスであり,超小型で低価格,計測範囲が広いという特徴を持つ反面,分解能は低く,地震観測として1×10-2 m/s2程度の振動計測に使えるものはほとんどなかった.しかし,最近,強震計として利用できる非常に低ノイズのMEMS加速度センサが開発・販売されるようになったため,MEMS加速度センサを用いたMEMS型計測震度計の開発を行い,高層建物のEPS室内や地下階において無線によるデータ転送の評価を実施した.

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© 2023 公益社団法人 日本地震工学会
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