2024 年 24 巻 1 号 p. 1_124-1_147
地震による被害の軽減に資することを目的として,地震調査研究推進本部地震調査委員会は全国地震動予測地図を公表し,随時更新している.全国地震動予測地図は地震動指標を震度で表現しているが,諸外国では応答スペクトルを用いた地震動予測地図が普及しており,耐震設計等の工学的利活用が進んでいる.こうした状況を踏まえ,地震調査委員会強震動評価部会は工学的利活用をはじめとする様々なニーズを踏まえた成果のあり方や利活用等の検討に資することを目的として,「応答スペクトルに関する地震動ハザード評価(試作版)」を公表した.本稿では,試作版における評価の位置づけ,地震動予測式の選定,評価条件,試算結果,利活用および今後の課題について報告する.応答スペクトルに関する地震動ハザード評価が進むことによって,確率レベルに応じた耐震設計や防災計画などの基礎資料として利活用されることが考えられる.試作版をもとに,防災関係者,研究者,建設産業関係者等も含めて広く利活用について議論され,我が国における応答スペクトルに関する地震動ハザード評価の進展が期待される.