近年,微小電気機械システム (MEMS) 技術を用いた慣性センサの小型・高精度化が著しく,このようなMEMSセンサを用いることで従来型のジャイロスコープと比較して安価で小型の絶対方位計が実用化されつつある.一般に精度,価格,真北方向の測定に要する時間は相互にトレードオフの関係にあるため,本研究では地震計の設置においてはそれほど高い精度を必要としないことに着目する.すなわち,地震計の設置方位角を決定する目的に特化して,水晶振動子による6成分MEMS慣性センサ用いて方位角を迅速に測定するためのプロトタイプを作成するとともに,データ処理方法について基本的な検討を行った.そのうえで,実機を用いて真北方向の検出精度を検証し,その有用性を確認した.