2024 年 24 巻 5 号 p. 5_187-5_197
東北地方太平洋沖地震以降,地震動予測において,地震の多様性や不確実性を取り入れた評価の重要性が認識されるようになった.このような評価では,大きなばらつきをもった地震動が予測されることから,設計外力設定をどのように行うかが重要な課題となる.地震動シミュレーションにより地震動予測の平均やばらつきの範囲を適切に評価する場合,これらはモンテカルロシミュレーションにより算出することが一般的であるが,計算負荷が大きくなる点に課題がある.そこで,少ない計算回数で地震動の平均およびばらつきの特徴を把握し,それを踏まえて任意に設定する地震動レベルに応じた地震動を断層モデルに基づき計算する手法を検討した.また,大正型関東地震を対象に平均および平均+1σの地震動レベルに対応する震源特性を抽出し,地震動を作成することで手法の有効性を検討した.