2024 年 24 巻 5 号 p. 5_332-5_341
過去の活断層帯地震の断層変位による建物被害の事例を紹介し,有効な断層変位対策を報告する.従来の断層変位対策は一般に断層線を避けることが求められていた.しかしながら,活断層の再現期間は数千年以上と非常に長いうえに,地表断層の出現位置やすべりの大きさ,横ずれ・縦ずれ等の断層タイプを建築物の設計に必要なスケールで事前に正確に特定することは一般に困難である.一方,近年の被害地震による調査研究(1999年トルコ・コジャエリ地震,1999年台湾・集集地震,2016年熊本地震など)では,地表地震断層の直上でも耐震対策が施された建築物は被害を大きく低減できることが明らかになっている.このため,近年では建築分野でも様々な断層変位対策が可能であり,実例を紹介する.