日本地震工学会論文集
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論文
海水が海底地盤上の観測地震動に及ぼす影響評価
森脇 美沙津野 靖士是永 将宏
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2025 年 25 巻 12 号 p. 12_40-12_59

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抄録

近年の海底地震観測網の整備に伴い,鉄道の早期地震警報における海底地震計データの活用が検討されている.既存のP波警報手法は陸上地表の地震計で有効性が確認されてきたものであり,海底地震計に適用するためには陸上とは異なる観測環境である海底地盤の増幅特性や,海水が海底での観測地震動に及ぼす影響を把握することが重要である.陸上地中に対する海底の地震動のスペクトル比を用いた検討により,海底表層でP波のみが海水中へ透過する結果として,P波のスペクトル比に数分の1程度の明瞭なトラフが出現し,その周波数は海底地震計の設置水深に応じて4分の1波長則に従い変化することを明らかにした.また,海底地震計データの時刻歴波形に基づいて,海底地盤上で観測されるP波初動の振幅は海底地中からの上昇波振幅の2倍以下となることや,P波の海面反射波が海底での観測P波の位相に与える影響が海底地震計の設置水深によって異なることを実証した.これらは既存警報手法を海底地震計へ適用する際に警報精度を低下させる要因となる.今後,本論文の成果であるP波の海水伝播を考慮することにより,海底での観測P波を利用した早期地震警報の実現が可能となる.

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