2025 年 25 巻 12 号 p. 12_76-12_91
令和6年能登半島地震では,震源域近傍の石川県能登地方だけでなく,北陸地域の広域において顕著な長周期地震動が観測された.この長周期地震動の詳細を明らかにするために,本研究では防災科学技術研究所の強震観測網K-NET・KiK-netで観測された強震記録を解析した.その結果,震源域近傍の石川県能登地方に位置する多くの観測点で周期1–3秒にピークを持つ擬似速度応答スペクトルが観測されていた一方で,新潟県の越後平野および富山県の富山平野に位置する観測点では周期4秒以上において震源域近傍の記録に匹敵する値の擬似速度応答スペクトルが観測されていたことが分かった.さらに越後平野で観測された周期8秒にピークを持つ顕著な長周期地震動は,震源域近傍または伝播過程で生成・増幅されたレイリー波が,越後平野の厚い堆積層によってさらに増幅されたものであることが示唆された.また富山平野で観測された顕著な長周期地震動は,異なる方向・タイミングで到来した複数の表面波が富山平野によって増幅・長時間化されたことが主たる要因だと考えられる.