制振建物において,設計モデルで想定された制振性能と実現性能との間には少なからず乖離がある.今後の地震に対してより高精度な応答推定・安全性検討を行うためには,この乖離を低減することが望ましい.本論文では,オイルダンパー付き実大5層鉄骨建物の振動台実験を対象として振動モデル同定を実施し,その応答推定精度について検討を行った.ダンパー特性の同定値は加振レベル毎で差異があり,制振部材の特性評価という点では言及し難い側面が残るものの,床応答レベルでの応答推定という観点ではその適用可能性が示唆された.また,初期モデル(同定前)との応答推定精度の差異が最大層間変形で顕著に認められ,提案した同定方法によって応答推定精度の向上が確認された.