2025 年 25 巻 4 号 p. 4_109-4_119
現在の耐震設計では60 m以下の高層建物に時刻歴応答解析は要求されておらず,保有水平耐力計算もしくは限界耐力計算により安全性が検証されている.これら二つの設計法のうち,一般に普及している保有水平耐力計算では地震時の建物の変形を陽に評価できないため,同計算法により設計された建物に対し,地震時の層間変形が,例えば限界耐力計算で定められた安全限界変形を超過するかは一般的には検討されていない.そこで,本研究では保有水平耐力計算に基づき設計された高層RC建物の地震応答変形を明らかにすることを目的とし,時刻歴応答解析と限界耐力計算の等価線形化法により評価された地震時の層間変形と,安全限界変形との比較検討を行った.