日本地震工学会論文集
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論文
接着系注入方式あと施工アンカーの火災時の付着強度に関する実験的研究
大和 征良
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2025 年 25 巻 4 号 p. 4_155-4_163

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抄録

既存鉄筋コンクリート系建造物の耐震補強として接着系注入方式あと施工アンカーが使用されている.しかしながら,長期部材接合を想定した接着系注入方式あと施工アンカーの長期特性の検証は十分とは言えず,特に火災時(高温時)の付着強度の検証は未だ不十分である.従って,接着系注入方式あと施工アンカーの長期部材接合(長期許容応力度)を想定した,火災時(高温時)の付着破壊強度に関する実験的研究を,コンクリート強度をパラメータとして行った.その結果,一部コンクリート強度の影響が見られたものの,大半の試験体においてコンクリート強度の影響が見られず,火災時(高温時)はコンクリートと接着剤の界面よりも異形鉄筋と接着剤の界面の支圧効果の方が支配的となること,コンクリート強度がほぼ同じ強度であっても,鉄筋の節の種類により高温時の付着破壊強度に差異が生じることが解った.従って,今後鉄筋の節の種類をパラメータとしたより一層の検証が必要であることが認識できた.

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