2026 年 26 巻 2 号 p. 2_88-2_106
新幹線などでは,地震時に迅速に走行列車を減速および停止させるために早期地震警報システムが稼働している.このシステムの性能向上に資する新たな警報手法の導入時において,対象鉄道路線に対する警報発令状況の総合的な事前評価は,十分に実施できていない.これを受け,早期地震警報システムの動作を模擬できる,地震時列車運転規制シミュレータを開発した.このシミュレータは,早期地震警報システムで用いる警報手法や動作条件を設定し,地震検知点で記録された地震波形データを入力することにより,導入効果や輸送影響を定量的に評価できる.開発したシミュレータを用いて,既往の大規模地震に対し警報発令特性に関する評価を行った.陸域で発生した地震の例では,開発中の警報手法は震源に最寄りの検知点において既往の手法より早く警報発令できることが示された.導入効果と輸送影響はトレードオフの関係となる場合があり,この関係を定量化できるシミュレータの出力に基づく評価指標は,鉄道事業者が新たな早期地震警報手法を導入する際の意思決定に活用できる情報である.