2007 年 7 巻 2 号 p. 160-179
三陸南地震 (2003) が発生した際, 旧築館町舘下地区において谷沿いに堆積していた火山灰質砂質土が崩壊し流動性土砂となって斜面下をすべり落ちた. この時, 築館周辺において地震動が記録されていなかったことから, 不飽和火山灰質砂質土の流動化による崩落メカニズムを震度や強震記録との関連性から議論することができなかった. そこで本研究では, K-NET 築館地点の余震記録と周辺の強震記録, 震度情報をもとに地すべり地点の波形の再現を行った. また, 火山灰質土の要素試験結果と地震応答解析から求められる累積損失エネルギーの比較を行い, 有効応力減少によって土塊が流動化し, 流動性の地すべりが発生するメカニズムを概ね推定することができ, 流動化が発生する大まかな強震動のレベルを把握することができた.