日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
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強震ネットワークデータから構築した広周波数帯域統計的グリーン関数とその南海地震への応用
包 那仁満都拉川瀬 博
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2007 年 7 巻 2 号 p. 80-95

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抄録

本論文では、まずK-NET、KiK-net、JMA 震度計観測網の強震観測データを統計的に処理し、地震タイプと地域特性を考慮した加速度波形の統計的経時特性と統計的スペクトル特性を抽出した。次に作成した統計的グリーン関数を用いて想定南海地震の強震動予測を行ったところ、過去の地震や研究結果とほぼ一致する結果が得られた。最後に非線形応答解析モデルに想定南海地震の強震動を入力して建物群の被害予測を行ったところ、想定南海地震震源域から近い所や海岸地域と川沿いの沖積地盤地域などの比較的地盤が軟らかいところでは建物種別を問わず、大破以上の被害を受ける結果になった。建物構造種別でみると低層鉄骨造建物、木造建物、中低層RC 造建物の順に被害率が小さくなることが分かった。しかし、超高層建物の被害は震源域に近いところに限られており、大阪平野など超高層建物の現存するところでは大破及び塑性変形に入る建物はなかった。

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