抄録
本研究では2007年に発生した能登半島地震において本震の地震波形が残っていない自治体観測点を対象に、地震動指標から周期1秒前後の速度応答スペクトルを推定した。最大加速度や計測震度と速度応答スペクトル平均値の関係を調べた結果、これらの地震動指標によって精度良く速度応答スペクトル平均値を評価できることが分かった。続いて、能登半島地震の観測記録を用いて、木造家屋の被害率と相関の高い応答スペクトルの周期帯を調べた結果、周期0.7~1.2秒で最も相関が高いことが明らかになった。最後に自治体観測点を対象に周期0.7~1.2秒の応答スペクトル平均値を推定するとともに被害率との対応を調べたところ、両者には良い相関が見られた。