経済地理学年報
Online ISSN : 2424-1636
Print ISSN : 0004-5683
ISSN-L : 0004-5683
大邱企業の対日輸出における日本側港湾の選択要因
朴 〓玄
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 43 巻 3 号 p. 185-200

詳細
抄録

本稿では, 「地方都市の国際化に関する実証的研究」の一環として, 大邱輸出企業の日本への輸出行動による日本側港湾の選択要因を考察した. その際には, 大邱企業が物流拠点として福岡圏内港湾を選択するメカニズムを, 商流の側面(取引先の分布)と関連づけながら, 福岡圏内港湾の利便性に関する評価を通じて明らかにした. その結果, 第1に大邱企業の物流の側面における福岡への指向率は高く輸送手段の選択においては空港よりも港湾の利用が多いこと, 第2に物流の側面における口本の都市への指向率は取引先の分布によって大きく影響されるものではないこと, 第3に福岡圏内港湾を選択する要因として時間コストが持つ意味は非常に重要であること, の3点が明らかになった. こうした分析結果から, 取引先の分布と財の輸送先とが必ずしも一致しない, 商流と物流の分離の形態による取引が一定量存在していること, そして輸出企業の契約商品の仕向港の選択行動においては時間コストが優先されていること, の2点が明確になった.

著者関連情報
© 1997 経済地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top