経済地理学年報
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デリー首都圏における自動車工業の集積とその地域構造 : ノイダ, グレーター・ノイダを事例として
友澤 和夫
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1999 年 45 巻 1 号 p. 1-20

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抄録

本稿は, デリー首都圏に開発されている工業団地-ノイダ, グレーター・ノイダ-を事例として, 既存の工業地域外縁部に集積しつつある自動車工業の地域構造を捉えることを目的としている. これは, 自由化政策導入以降の同工業の立地が, こういった外縁部や特定の後進地域で進展しており, 後者の内容については友澤 (1997) として公表したが, 前者の把握は次の研究課題として残していたことに対応したものである. 考察の結果, 以下の諸点が明らかとなった. 1)当地区は首都デリーへの近接性が最大の立地メリットであり, 自動車のみならず各種工業の立地場所として魅力に富んでいる. 2)当地の完成車メーカーは, 部品調達先の所在からみると, 首都圏という同国最大の部品供給地に立地していると捉えられる. また, 完成車メーカーの新規立地が, 新しい部品工場の進出を生むという相乗効果がある. 3)関連工場については, 完成車メーカーと垂直的分業関係にある工場に加えて, 海外部品市場や国内取り替え部品市場, 生産機器の注文開発を指向するものがあり, 存立基盤は多様である. 4)工業労働力の供給は, 首都圏の労働市場によって支えられている. 当該地区における居住機能の充実に伴い, スタッフ, ワーカーともにノイダへの集中傾向を示すが, 前者の場合それが幾分弱くデリーへの指向も依然として強い.

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© 1999 経済地理学会
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