経済地理学年報
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地方都市における不動産証券化を用いた低未利用空間の利活用可能性
―米子市における不動産証券化事例を参考に―
菊池 慶之
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2016 年 62 巻 2 号 p. 151-159

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抄録

    本稿では地方中小都市の低未利用空間の利活用方法として,不動産の所有と利用の分離手法の一つである不動産証券化に着目し,全国での普及状況の把握と普及に向けての課題について検討した.この結果,日本における不動産証券化は極めて大都市圏に集中した状況にあるものの,2010年頃から対象となる不動産の用途の拡大とともに,地方圏においても増加しつつあることが分かる.また米子市における事例からは,公的ファンドのような必ずしも収益性を第一義としないプレイヤーの参加が事業成立の重要な要素となっている.民間ベースの開発である不動産証券化に公的ファンドの出資が入ることは,①困難な財政状況の中で中心市街地活性化に係わるハード事業を可能にする点,②民間ベースの開発を自治体等の策定する地域政策に誘導できる可能性がある点で今後のまちづくりにおいて重要な論点となり得ると言えよう.

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© 2016 経済地理学会
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