2016 年 18 巻 p. 23-33
藍野大学医療保健学部理学療法学科では,2007年度より理学療法版の客観的臨床能力試験(OSCE)を作成し,これに,映像によるグループリフレクションを組み込んだ「OSCEリフレクション法(OSCE–Reflection Method:OSCE-R)」を開発・実施してきた。本研究の目的は,臨床推論を求めるOSCE-R ver.2(「考えるOSCE-R」)が学生の学びに与える影響について検討することである。理学療法学科の3年生77名を対象に新しい課題でOSCE-Rを行い,グループリフレクション前後のOSCE評価得点の比較,リフレクションシート分析,アンケート調査およびインタビュー調査を行った。その結果,OSCE-R ver.2では,臨床現場に近い状況の臨床推論が促され,それによって理学療法過程をたどりながら,深く思考することが可能になるということが確認された。