教師学研究
Online ISSN : 2424-1598
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小学校教師の情動的支援における資質・能力の認識 ―教職年数と低学年担当回数による相違―
芦田 祐佳
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2021 年 24 巻 1 号 p. 21-30

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抄録

本研究では,小学校教師が情動的支援において必要だと考える教師の資質・能力について,教職年数と低学年の担当回数による差異を検討した。小学校教師を対象とする質問紙調査によって,児童がネガティブな情動を表出したときに教師に求められる行動や態度をたずね,教職年数・低学年担当回数との関連を検討した。その結果,低学年の担当回数が多い群では,児童個人の情動に寄り添えることを教師に必要な資質・能力として認識していることが明らかになった。また,低学年の担当回数が少ない群では,学級集団に関連づけて支援できることを教師の資質・能力として捉えていることが示された。さらに,若手群は特定の支援ができるかどうかという観点から,熟練群はその支援の方向性を判断できるかどうかという観点から,教師の資質・能力を捉えていた。中堅群は固有の特徴に乏しく,各群の教師が意識している資質・能力を幅広く認識している可能性が示唆された。

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© 2021 日本教師学学会
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