抄録
本研究は、環境の構成としての保育者の状況的・即興的な「モノを動かす」行為に着目し、保育者の環境の構成の過程に内在する実践的知識や思考を、即興的行為および即興的思考の視点から検討するものである。保育実践における専門性の構造を明らかにすることを目的として、保育者が、実践を振り返る中で省察・語り直し・意味づけを行うことにより、新たな概念や実践的知識を見いだすことが可能であるという立場から、語りの分析を行った。その結果、保育者の語りがどのように行為の意図を再構成し、無意識的判断を意識化していくのかが明らかとなった。これにより、保育者の「即興的思考」は、出来事への即応と省察による再解釈の往還的プロセスとして位置づけられることが示唆された。