抄録
情報Ⅰ「⑵コミュニケーションと情報デザイン」では,情報デザインの考え方や方法を用いてコンテンツを設計する力を養うことが求められている.情報デザインの例であるユーザビリティを,人間中心に設計する手法の一つとして「ペルソナ手法」がある.ペルソナ手法を授業で活用する上での課題として,ユーザ像のパターン化にデータ収集・分析の技能が必要であることが指摘されている.また,ユーザ像の擬人化に経験値や専門性が必要であること,ユーザ像の優先順位づけの手順と基準が明確でないことも課題であると考えられる.そこで本研究では,データに基づかない「プロト・ペルソナ」の作成におけるユーザ像の擬人化と優先順位づけの双方を支援する「プロト・ペルソナ作成支援シート」を開発し,授業実践と事後アンケートの分析を行った.分析の結果,本教材がユーザ像の擬人化と優先順位づけの支援に有効に機能したことが示された.