抄録
学習指導要領の改定により,高等学校においても「データの活用」の分野が重要視されている.共通教科「情報」においては,情報Iでは基本的なデータ分析について学習し,情報IIでは重回帰分析等の発展的な内容を学習する.その一方,情報IIに対応した教材や授業案が多くないといった課題がある.そこで本研究では,情報IIで扱われる分析手法である重回帰分析に着目し,授業の中で生徒が重回帰分析を行えるデータ分析学習ツールを開発し,その特徴を学習できる授業案を検討した.高等学校では情報IIの授業は実施前だったことから,作成した授業案による実験授業を工学部の大学2年生(N=149)を対象に実施した.事前アンケートと3つの課題,振り返りから学習効果について検証を行った結果,約8割の学生が重回帰分析と散布図行列の特徴を読み取れていることを確認できた.今後は作成した授業資料を公開し,高等学校での利用を進める予定である.