日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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特集 : 「急性膵炎の診療ガイドライン」によって診療行為がどう変わったか?
当科における重症急性膵炎の治療成績
安田 武生上田 隆竹山 宜典中島 高広沢 秀博新関 亮松本 逸平味木 徹夫藤野 泰宏鈴木 康之黒田 嘉和
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2007 年 27 巻 3 号 p. 481-485

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抄録

(1) 目的・方法, 当科では1990年以降, 重症急性膵炎を139例経験している。治療方針として, 1995年より動注療法, ロングチューブからの経腸栄養を導入し, 1999年以降は現在の「急性膵炎の診療ガイドライン」に一致した形となっている。今回治療方針の変遷により, 前期 (1990~1995年) 52例, 中期 (1995~1999年) 27例, 後期 (1999年以降) 60例の三群に分け, 治療成績を解析した。(2) 結果, 三群間で年齢, 性別, 成因, 重症度に差はなかった。動注療法と経腸栄養の施行率は, 前期から後期にかけ, 著明に増加していた。経過中の臓器障害併発率や感染併発率に差はなかった。しかし, 膵に対する手術施行率は, 前期40%, 中期22%, 後期17%と有意に減少し, 死亡率も, 前期37%, 中期30%, 後期22%と改善していた。(3) 結語, 重症急性膵炎において「急性膵炎の診療ガイドライン」に即した治療は手術を回避し, 死亡率を改善していた。その理由として動注療法と経腸栄養の有用性が示唆された。

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© 2007 日本腹部救急医学会
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