日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
特集 : 「急性膵炎の診療ガイドライン」によって診療行為がどう変わったか?
エビデンスに基づいた急性膵炎の診療ガイドライン出版後の普及活動と今後
―インターネット化, ダイジェスト版, 英文化―
吉田 雅博高田 忠敬真弓 俊彦平田 公一木村 康利小泉 勝伊佐地 秀司武田 和憲広田 昌彦関本 美穂三浦 文彦和田 慶太
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2007 年 27 巻 3 号 p. 487-490

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抄録

「エビデンスに基づいた急性膵炎の診療ガイドライン」は, 1999年から日本腹部救急医学会にて作成が開始された。EBMの手法を取り入れ, 日本膵臓学会, 厚労省難治性膵疾患に関する調査研究班と合同で2003年7月に出版した。これまでに10,000冊が販売されている。出版後の活動 : (1) PDFファイルは, 日本腹部救急医学会と難病情報センターのホームページで閲覧が可能。さらに, 本年より日本医療機能評価機構「医療情報サービス (Minds) 」のホームページに掲示。(2) 最戦線の臨床現場での使用のために, 白衣のポケットに入るダイジェスト版を発行した。(3) 英語版ガイドライン「JPN Guidelines for the management of acute pancreatitis」を2006年2月にJournal of Hepato-Biliary-Pancreatic Surgeryの学術論文としてSpringer社より出版した。この論文はフリーダウンロードとしており, 全世界どこからでも自由にアクセスし, ダウンロード可能である。(4) 改訂作業は2006年度より開始され, アンケート調査をはじめとする臨床現場からのフィードバックも反映した第2版が, 2007年に発刊予定である。注意点 : 医療訴訟は増加傾向にある。訴訟においてガイドラインは医師が理解していて当然とされる医療水準として, また説明義務の範囲として引用される可能性が高い。内容の十分な吟味と十分なコンセンサスを得る重要性を強調したい。

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© 2007 日本腹部救急医学会
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