2007 年 27 巻 3 号 p. 495-498
症例は58歳, 男性。交通事故で腹部を打撲し, 当院へ搬送された。来院時, 左上腹部に打撲痕や左腰背部に圧痛を認め, 腹部CT検査上, 上腸間膜動脈末梢の腸間膜内に血腫を認めた。血管撮影検査では, 空腸動脈の分枝に多数の破綻を認め, 大きな動静脈瘻を形成していた。多数の流入動脈があり, 血流も豊富であったためコイル塞栓術は困難と考え, 目印のためにコイルを留置し, 手術を施行することとした。開腹すると, Treitz靭帯から肛門側約170cmの腸間膜に血腫を認め, 約90cmに渡って存在していた。術中透視検査を行いコイルの位置を確認し, そこよりも中枢側の動脈を2重結紮後切離した。腸管の切除範囲は血腫が広がる約90cmの範囲とした。術中動静脈瘻の部位を検索するのに, コイルが有用であった。術後経過は良好であった。