日本腹部救急医学会雑誌
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原著
大網裂孔ヘルニア手術6例の検討
原田 直樹中島 幸一佐竹 信祐山崎 良定
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2008 年 28 巻 5 号 p. 643-647

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抄録
内ヘルニアは比較的まれな疾患であるが,その中でも大網に生じた異常裂孔に腸管が陥入する大網裂孔ヘルニアの報告は少ない。今回,われわれは大網裂孔ヘルニア嵌頓にて手術を行った6例を経験したので報告する。年齢は41歳から85歳で男性4人,女性2人で,Body Mass Index(以下,BMI)は18.8から27.6であった。陥入型式は山口分類1)でA型が5例,C0型が1例であった。3例に画像上大網裂孔ヘルニアを疑い腹腔鏡を先行した手術を行った。腸管壊死を認めた症例は4例あり,腸切除を必要とした。切除した腸管の長さは40cmから100cmであり,1例に術後重篤な合併症が発生した。手術既往のない腸閉塞に対し同疾患の鑑別診断として腹部CTは有用であった。また,内ヘルニアを疑う症例に腹腔鏡下手術は診断,治療の両面において優れた方法であると考えられた。
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© 2008 日本腹部救急医学会
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