日本腹部救急医学会雑誌
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原著
術後壊死性筋膜炎症例の検討
三好 篤中房 祐司佐藤 清治宮崎 耕治
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2008 年 28 巻 5 号 p. 649-654

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抄録

壊死性筋膜炎は皮膚・皮下組織に壊死を引き起こす細菌感染症であり,急激に発症・進行するため致死率が高い。術後の壊死性筋膜炎症例の特徴を明らかにする。開腹術後に壊死性筋膜炎と診断された7例の臨床像について検討した。平均年齢は64歳(46~84歳),男性6例,女性1例で,7例中6例に大腸手術が施行されていた。発症までの平均期間は7.3日(3~24日)であり,起炎菌はグラム陰性桿菌4例,MRSA3例であった。ほぼ全例に皮膚所見(壊死もしくは発赤),局所の圧痛およびCT検査で皮下ガス像を認めた。全例に広範囲壊死部debridementが施行された。死亡例は2例であり致死率は28.5%であった。生存例と比較し,死亡例では皮膚の壊死を伴っており,発症から処置までの期間が長かった。大腸手術施行例,免疫機能低下症例の術後1週間以内の高熱,急激なSIRSへの移行を認めた場合,本疾患を念頭において局所診察およびCTなどによる精査を行う必要がある。

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© 2008 日本腹部救急医学会
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