抄録
【目的】急性胆嚢炎に対する待機的腹腔鏡下手術の施行例において,腹腔鏡下手術を開腹手術へ移行させた諸因子をretrospectiveに解析し,検討した。【対象と方法】2002年1月から2005年12月までに当科にて腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下,LC)を施行した329例中,急性胆嚢炎の診断基準を満たした109例を対象とした。これらの症例をLC完遂群,開腹術移行群(以下,conversion群)の2群に分け,開腹術移行に至らしめた術前の予測因子を検討した。【結果】胆嚢結石頚部嵌頓,画像での胆嚢管描出陰性,Mirizzi症候群の3因子が有意な開腹術移行への予測因子であった。【結語】当科では,急性胆嚢炎の外科的治療は原則としてLCで行うが,上記3因子のある症例に対しLCを行う場合,開腹術移行の可能性を術前より考慮すべきである。