抄録
腹部救急疾患の肝外傷も含めた肝切除においては,術後の肝機能低下や肝不全に注意する必要がある。治療後の肝機能評価としてのapolipoproteinA-1 (以下,ApoA-1)の有用性について述べた。肝切除後のApoA-1は術後1週目まで経時的にApoA-1は低下し,2週目は回復した。ApoA-1の術後変動は肝の蛋白合成能を反映していると思われた。肝不全でApoA-1を測定したところ,ApoA-1は著しくに低下し5mg/dL以下となった。ApoA-1の低下は肝不全の比較的早期から出現した。最近,ApoA-1はlipopolysaccarideを中和する作用があり,ApoA-1が抗エンドトキシン作用を持つことが報告されている。ApoA-1は敗血症予防のためにも測定すべきである。また,バリン経口投与によって肝機能が回復した肝不全患者を経験し,選択的アミノ酸投与療法は肝不全治療の有効な手段に成り得ると思われた。