抄録
近年,消化器術後の早期経腸栄養(以下,EEN)が注目され術後合併症減少などの有用性が報告されている。当施設では2003年より潰瘍性大腸炎(以下,UC)術後のEENを導入し,中心静脈栄養(以下,TPN)を対照とした無作為割付比較試験を行ってきた。本稿ではその成績と問題点を検討し考察した。TPNの忍容性は良好であったがEENは副作用のため完遂率が54%にとどまった。EEN非完遂群ではTPN群とEEN完遂群に比べ栄養投与量が有意に少なく,トランスサイレチンの回復も遅れていた。術後合併症の頻度は両群間で有意差なしであったが,EEN群で腸閉塞症の頻度が低い傾向であった。以上,投与経路によらず十分な熱量投与を行うことで速やかに栄養指標が回復することが示された。またEENによる腸閉塞予防の可能性が示された。したがってTPNにより十分な熱量を投与しつつ副作用なく投与可能な少量のEENを併用してゆくのが, UC術後に最も適した栄養療法と考えられた。