日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
特集:腹部救急領域における栄養管理
重症急性膵炎における栄養管理
─Synbiotics早期経鼻的空腸栄養法の重要性と栄養サポートチームの役割について─
古屋 智規高橋 賢一橋爪 隆弘和嶋 直紀木村 昭利菅原 和子
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2008 年 28 巻 7 号 p. 909-913

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抄録
重症急性膵炎(以下,SAP)は消化管機能不全があるため栄養管理が困難である。そこで,synbiotics併用早期経鼻的空腸栄養(以下,S-EN)と栄養サポートチーム(以下,NST) の有用性を検討した。S-ENは抗生物質耐性乳酸菌, L─glutamine,オリゴ糖,食物繊維含有半消化態流動食を投与した。全科型NSTは2005年9月設立で,主観的包括的評価,客観的栄養評価でスクリーニングし,介入後栄養上の問題解決まで週1回の回診を継続した。S-ENによる栄養管理で続発性膵感染率および致死率の改善が得られ,NST介入前後で比較した結果でも同様にNST介入後の方が良好であった。S-ENはSAPにおける消化管不全に対処し得る栄養法と考えられる。また,SAPをはじめとした腹部救急医療領域においては,主治医だけでなくNSTのサポートを受けながら,チームとして患者の状態に応じた栄養管理を行うことが大切である。
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© 2008 日本腹部救急医学会
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