日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
特集:急性虫垂炎の治療方針の変遷と現状
当院における急性虫垂炎治療の変遷と評価
五十嵐 隆通安東 立正富澤 直樹荻野 美里榎田 泰明濱野 郁美清水 尚荒川 和久田中 俊行小川 哲史須納瀬 豊竹吉 泉
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2012 年 32 巻 4 号 p. 751-755

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抄録

当院では2005年以前,急性虫垂炎は保存治療を原則としていたが,2006年に腹腔鏡下虫垂切除術を導入後,カタル性虫垂炎,腫瘤形成性虫垂炎以外は積極的に手術を行う方針に転換した。1997年から2010年9月までの急性虫垂炎症例1,290例を対象とし,保存治療完遂群,保存治療から手術への移行群,および来院時手術群の成績を検討した。また,開腹手術と腹腔鏡下手術の成績を比較検討した。平均在院日数は,保存完遂群と腹腔鏡下手術群が6.9日と最短であった。しかし,保存完遂群に15日以上の長期入院を要する例を7%に認めた。手術移行群,手術群とも,腹腔鏡下手術は開腹手術と比べ,在院日数は短い傾向にあり,術後合併症も少なかった。よって初回治療としての腹腔鏡下手術は妥当と思われた。高度炎症例に待機的腹腔鏡下手術を行った場合,在院日数は短く,術後合併症もなく,高度炎症例の治療の選択肢となり得ると思われた。

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© 2012 日本腹部救急医学会
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