抄録
【背景】われわれは腹腔鏡下虫垂切除術(以下,LA)を1995年より導入し,すべての急性虫垂炎を適応としている。2009年より単孔式腹腔鏡下虫垂切除術を導入し,症例を選択し施行している。現在では,症例の重症度に応じて保存的治療,LA,単孔式腹腔鏡下手術などの術式を選択して施行している。現在われわれが行っている急性虫垂炎治療における標準的な方針を示し,あわせて単孔式LAと従来式LAの成績について報告する。【方法】対象は1995年5月から2011年12月まで,当科にて虫垂炎手術を施行され,かつその後の追跡調査が可能であった1,280例について検討を行った。検討1では軽症虫垂炎に対して行ったLA447例,単孔式LA72例の成績を比較した。検討2では緊急手術を必要とせず,入院にて保存的治療を行った40例について検討した。【結果】[検討1]患者背景に差はなく,手術時間においてのみ従来法LAがより長い結果であった。その他の術中・術後成績において2群間に差はなかった。[検討2]保存的治療を選択した理由は全例腹部所見が軽度であったためであった。さらに血液検査上白血球数10,000(/mm3)以下の症例が16例,画像検査上虫垂腫大が10mm以下の症例が12例であった。平均在院日数は5.3日であり,入院中に手術に移行した症例はなかった。今回の検討の結果,単孔式LAは従来法LAと比べ遜色ない結果であり,当院における虫垂炎に対する治療方針は妥当なものと考えられた。