日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
特集:急性虫垂炎の治療方針の変遷と現状
Interval appendectomyの適応と至適手術時期についての検討
家入 里志柳 佑典松浦 俊治宗崎 良太永田 公二林田 真木下 義晶橋爪 誠田口 智章
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2012 年 32 巻 4 号 p. 771-774

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抄録

腹腔内膿瘍を合併した穿孔性虫垂炎においては,術中術後合併症のリスクが高いことから,interval appendectomy(IA)の有用性が論じられている。当科のIA症例から,その適応と至適時期について検討した。対象は当科でIAを選択した10例で当院紹介時,全例で虫垂周囲の腫瘤形成を認めた。1例でドレナージ術を施行したが,他の9例はドレナージなしの待機手術とした。抗生剤3剤を投与,炎症所見軽快した後,一旦退院,腹腔鏡下IAを施行した。開腹移行例および術後合併症も認めなかった。Intervalは平均3.5ヵ月であったが,6例は待機中に再燃を認め,5例で緊急IA,1例で再保存的治療後にIAを施行した。再燃したIA症例では糞石を有している症例を多く認めた。IAは,腫瘤形成性虫垂炎の第一選択であると考えられ,3ヵ月のintervalを基本としているが,糞石症例では,緊急IAを要した症例が多いことから,intervalを短くすべきと考えられた。

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© 2012 日本腹部救急医学会
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