抄録
症例は66歳,女性。高血圧症,高脂血症,便秘症にて近医通院中。腹痛・嘔吐を主訴に近医受診し,急性腹症の診断で当院紹介受診となる。来院時腹部所見は左下腹部を中心に左側に限局した圧痛を認めるも,腹膜刺激症状,下血は認めなかった。血液検査では白血球:10,800/mL,CRP:6.65mg/dL。腹部造影CT上,nonrotation typeの腸回転異常症と考えられ,上行結腸から下行結腸の一部に限局して腸管壁の著明な浮腫性変化および肥厚した腸管壁内にはairを認め,腸管虚血あるいは壊死が疑われた。以上より腸回転異常症に合併した虚血性腸炎と診断し保存的療法とした。症状軽快後,下部消化管内視鏡で脾弯曲部から下行結腸にかけて多発性の白苔を伴う潰瘍を認め,生検では慢性炎症細胞と炎症性肉芽組織であった。腸回転異常症に合併した虚血性腸炎の1例を経験したので報告する。