抄録
症例は31歳の男性。前日から続く上腹部痛,嘔吐のため当院受診し入院となった。入院時は上腹部の軽度膨満・腹痛程度の症状であったが,入院2日目には腹部膨満・腹痛増強し,反跳痛も出現した。腹部CT検査では,腹水・小腸拡張像および下大静脈と門脈との間に腸間膜脂肪層と血管群の集簇を認め,Winslow孔ヘルニアが疑われた。開腹したところ,腹腔内に大量の血性腹水を認めた。Treitz靱帯より肛門側170cm~190cmの小腸が,Winslow孔から網嚢内へ嵌入し,壊死に陥っていたことから小腸部分切除を行った。Winslow孔ヘルニアは特徴的なCT所見を示すため詳細に画像を読影する事により術前診断は可能であると考えられた。発症後の経過が長い場合でも腸切除率は低いことから,十分な減圧後に腹腔鏡下手術で整復のみを行いうると考えられた。