抄録
症例は63歳,女性。横行結腸癌,胆石症に対し腹腔鏡下結腸部分切除,D2郭清,胆嚢摘出術を施行した。右下側腹部の5mmポート創から8mmマルチドレーンを挿入留置した。術後3日目にドレーンを抜去し,術後7日目に退院となった。術後11日目にイレウス症状を呈し当科へ救急搬送された。腹部CTにて右下側腹部5mmポート創の皮下に小腸の一部が嵌頓した像を認めたため,細径ポートサイトヘルニア嵌頓の診断にて即日緊急手術となった。手術を施行すると,5mmポート創下の腹膜,筋膜欠損部をヘルニア門に小腸が嵌頓したRichter型ヘルニアであった。ポート創を延長しヘルニア門を切開し嵌頓を解除した。絞扼小腸を切除,吻合しヘルニア門を閉鎖し手術終了した。ドレーン挿入操作によるポート創の開大が主原因と考えられた。5mm以下の細径ポートサイトヘルニアは非常にまれな疾患とされるが,細径ポートを用いた腹腔鏡下手術の増加に伴い増加が予想され,発生防止と発生時の適切な処置が重要である。